東京タワーと夜桜撮影 PENTAX Q7で楽しむ夜桜
浅草には何度か行ったことがある。浅草寺はライトアップされており、夜でも写真撮影を楽しめる神社なのだ。だが、桜が咲いていたかどうか覚えていない。それでもきっと夜桜撮影はできるだろうと、会社帰りに浅草へ向かった。だって、日本人、桜好きだし。
以前撮った浅草の夜景写真は、そんなに慣れていない夜景撮影の際に訪れた。思っていた以上に良い写真が撮れたので、いい印象を持っていた。神社という絵になるロケーションにライトアップされた風景と、朱に染められた神社の色。雰囲気が良ければ、それなりの腕でもわりときれいに撮影できることを知った場所だ。
前に来たときは浅草名物の「雷門」は改修中で撮れなかった。今回訪れたときには改修はすっかり終わっていて見慣れたでかい提灯が下げられた門が仲見世通りの入口にある。大通りに面した雷門は有名どころでもあり、この時間でも門の下でポーズを撮って撮影する人が絶えない。
しかもすぐ隣には交番がある。撮りたいと思える景色ではなく、人の行き来が激しく撮りたい位置からも撮れない。そんなわけで雷門は適当に撮影して中へ進んだ。
仲見世通りの終わりと浅草寺の始まりのところにお目当ての桜は咲いていた。桜の花はちょうど満開で少し早めに咲いた桜から少しだけ花びらが空を舞う。
桜の花が満開で、この先にも桜はあるだろうかという期待感から、ここでの撮影はほどほどに、またあとで撮りに来ようと思い、浅草寺の中へと進んでいく。
浅草寺には雷門以外にも何個か提灯がついている門がある。個人的には雷門よりも中にある「小舟町」と書かれた提灯のある門のほうが好きだ。
フォトスポットとしてはこちらのほうが撮りやすく絵になる。雷門はただ有名というだけで人も多く撮りづらい。歴史的な背景や人気なんかはどうでもよく、ただただ自分が撮りたい風景を写真に収めたい。
浅草寺からスカイツリーが良く見える。この日は良く晴れていて、よく月が輝いていた。花鳥風月とはよく言ったものだ。この写真の構成要素の半分は人工的なものだから花鳥風月とは言わないのかも。細かいことはさておいて桜と月が輝く夜である。
社の赤と桜のピンク、空の青に月の光。
人工的なライトアップもされてはいるが、この景色。何十年も何百年も繰り返されてきているのだろう。よく見ると歴史が浅そうな石橋や、鉄でできた鎖や手すりがある。うん、何百年か前はもうちょっと違う風景だったんだな。
夜景撮影は昼間の撮影とは違って、いろいろと設定に気を付けなければうまく取れない。昼間の写真はカメラ任せでもそれなりにきれいに撮れるので、手取りでシャッターを切るだけでいいのだが、夜景撮影の場合はそうもいかないのである。
ISOを上げすぎるとノイズが増え、シャッター速度を遅くすると明るくなりすぎるし、スローシャッターで撮影するにはどうしたって三脚が必要になる。背の高い三脚があればいいのだが、私は重いものやでかいものを持ち歩くのが億劫なので、小さな三脚と小さなミラーレス一眼の「Pentax Q7」を愛用している。そうなるとどうしたってローアングルからの撮影になってしまうのだ。
夜景撮影の面白いところはレタッチにある。レタッチのやり方ひとつで写真の印象が昼の撮影よりもふり幅が大きい。同じような風景でも明るさや色味、色調で別物になる。そこがまた楽しいところだ。
撮った写真をレタッチすることが邪道だという意見もあるが、個人的にはレタッチを含めて写真だと思っている。Adobeのライトルームのキャッチコピーを借りれば「写したままから、感じたままへ」ということだ。
写真の楽しみ方は人それぞれだから、何が正しいということを言うつもりはないのだけれど、写真を撮って何かを表現したいと思っている自分には、気に入った風景を切り取ることに加えて、こんな風に見せたい、というクリエイティビティも付け加えたいので、レタッチ作業は大好きな時間なのだ。
広すぎず、狭すぎない浅草寺の境内にはいろいろなところで桜が咲いていた。自分以外にも夜桜目当てにカメラを構える人が多い。スマートフォンでもきれいな写真が撮れるし、外国の観光客の人も多い。
一通り桜を楽しんで、入口のほうへと向かった。前回の東京タワー、今回の浅草寺。桜と+αの写真を堪能したが、桜そのものの写真はあまり撮っていなかったなぁと思い、入口近辺の桜をじっくり撮影する。
夜空の青と桜のピンク。カメラを空に向けて撮る。
空の色を黒に染めて、シャープな写真に仕上げる。同じようなロケーションでもレタッチを変えるだけで与える印象はガラリと変わる。これが楽しいのである。